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    9回裏1点差でリード、そのとき監督は、
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■9回裏、

1点差でリード

ここを守りきれば、勝てる。


そのとき、マウンドに呼ばれたのが、


久保田。


6月1日の阪神対楽天戦でのことです。


これは、僕にとって、

すごく印象的で象徴的な出来事でした。



■久保田は阪神の押さえの投手なんですけど、

前の試合で、同じシーン、9回1点のリードという場面で、

あと3人押さえれば、勝てるという試合で、


パカーンと打たれて、負けてるんです。

しかもそれで、4敗目。


普通、負けた投手をすぐ次の試合、

しかも同じシーンで、使えるか?


これは、そうとう監督の判断が問われると思うんですよ。


じゃぁ、なぜ、監督は、久保田を再びマウンドに送ったのか?



■阪神の監督は、岡田監督っていいまして、

自分が関西にいたからではないですけど、

自分は岡田監督が大好きなんですね。


それは、その生き方が好きなんです。


岡田監督は、かつて、

掛布・バース・岡田という3主砲の一人となって

阪神を優勝そして日本一に導いた男で、


3人でバックスクリーン三連発を打った

というのが今だに語り継がれてます。



■多くの選手が、まだやれるのに、


でも、若手の選手にも押されてきて、

代打での出場なんてことも多くなる。


そして、自分のプレーができない、思い描くプレーができないって、

未来のためにも、今、ユニフォームを脱いでおいたほうがいいって、

やめていくなかで、


岡田監督は、現役を続けたいって。

そして、阪神でやり続けたいって。


でも、居続けられない。出番がない。


じゃあ、どうするのか、辞めるのか?


いや、違うと。


■自分は野球が好きだから、

他の球団でも、自分をかってくれてる人がいるなら、

チャンスをもらえるんなら、移ってでもやるって。


そこにグッと来るものがあるんです。



自分のプレーができない、思い描くプレーができない、だから、引退する。

そういった道もあるかもしれない。


でも、ほんとに野球が好きで、もっと野球がうまくなりたい。やりたい。

と思ってやってきた道だとしたら、ほかに移ってでもやると思うんですよ。



そして、岡田監督は、阪神から、オリックスに移籍した。

その姿勢が、すごく好きだなぁって思うんです。


サッカーでいうと、その姿勢がよく映るのが、カズ選手なんかがそう。



■岡田監督は、オリックスを引退したあと、

阪神に戻って、2軍の監督からスタートして、2度優勝させて、

そんな実績もあって、1軍の監督になってきたんですけど、

2軍のときのメンバーなんかが、いまの主力になってきてるんですよね。

浜中なんかもそう。



■なぜ、岡田監督は、久保田を再びマウンドに送ったのか?



そこが、岡田監督のすごいマネージメントだと思うところです。


久保田選手はストッパー、クローザーとも言いますけど、

押さえの投手で、去年の優勝にも貢献した選手なんですね。


今年は、けが人が多くて、まだまだ去年のような体制が作れていないなかで、

久保田選手も、本調子でない状況があって、

でも、信じて、

前回、9回1点差で勝っているなかで、久保田を登場させたんですね。


しかし、


残念ながら、久保田は、

フォアボール、フォアボールかな、でランナーを溜めて、

で、そこで、逆転スリーランかなにかを打たれて負けたんです。



■そのときに、試合後のインタビューで、岡田監督はなんていったか?


例えば、野村監督とかなら

「久保田のあの配球はだめだ」って言うかもしれない。


でも、岡田監督違う。

こう言った。


「久保田が打たれたらしゃあない。今日は以上や。」


「しゃあない、俺の責任や」

って言うんですよ。

僕なんかは、それ聞いて、

かっこいいなぁって思うわけですよ。




■で、次の日また試合があって、


同じく1点差で勝っている舞台のなかで、

9回、久保田をマウンドにやるんです。


そのとき、岡田監督、

監督になってからはじめですよ、ピンチ以外でマウンドに行ったんです。


普段、とてものピンチでもないと

ベンチから出てこないんですよ、岡田監督は。

あとは、選手に任せたっていうポリシーがあって。


その行かない岡田監督がマウンドまで行って、何をやったか?



久保田がマウンドで、投球練習している後ろで、

二王立ちで、久保田をじーっと見て。


で、岡田監督が何を言ったかといったら、


「本来のボールを見せたれ」


って。

おまえのその剛速球を見せ付けて来い

って。

ビシッと決めて来いと。


岡田監督、かっこええなぁ〜、って思いました。

僕がもし久保田だったら、めっちゃ気合入ります。


そして、久保田は見事、9回を押さえて、ゲームセット。



■前日、負けてて、

普通なら使ってもらえない状況のなかで、久保田の投入。


それは、岡田監督にとっても、世間からバッシングをうけたり、

チーム全体からみても、ファンからも、なんで久保田を使うねんって、

言う人もいるかもしれない状況で、

そんなのを全部蹴散らして、


久保田を信じて、チャンスを与えた岡田監督。


そして、それに応えた久保田選手。



■岡田監督なんかは、選手の気持ちがよくわかるんやろうと思います。

そこで外されたら、すごい自信をなくすって。



自分も昔、バッターボックスに立たせてもらえなかった。

でも、チャンスもらって、オリックスでやらせてもらった。

だから、チャンスをやりたい。


「お前を信じているぞ」


って、熱い想いを伝えた岡田監督を見て、

おお、すごいなぁっと思いました。



■我々も商売をし続けていく長い道のりのなかで、

うまくいかなかったり、失敗したり、そんなの毎日です。


でも、それで、もう止めますって言ったとしたら、

トライアンドエラーじゃないなと思います。



トライして、エラーして、失敗をバネにして、修正して、

そして、再びチャンスをもらえていることを意気に感じて、

必ず結果が出ると自分を信じてやる。


また、自分もそう信じて仲間を送り出していく。



自分自身、チャンスを与えてもらってきたことに感謝してますし、

また、自分もチャンスを与えていきたいって思いました。



(2006/6/12)
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